街で聞いた、ちょっと怖い!?精油の使用例② ~連載:精油の危険性について 第4回~

みなさん、こんにちは。
2018年もどうぞよろしくお願いいたします。

今回は、前回(連載:精油の危険性について 第3回)に引き続き「精油取り扱い店舗」で実際に聞いた、精油の使い方の誤った実例をご紹介します。

実例3:2年ほど前にテレビや雑誌で認知症予防には「ローズマリー精油がいいらしい」と取り上げられたことから、ある店舗には「ローズマリー」を求めて高齢者が殺到した。しかし、1週間後、店舗を訪れたお客さんは「あれ以来、なんだか調子悪いんだよね」と。そんなお客様が何名も現れた。聞けば、皆さん65才以上、高血圧のため薬を服用中の方が多い。使用法としては、アロマペンダントやお部屋での芳香が殆どだった。

2012年の調査ですが内閣府によると病院で認知症と診断された65才以上の認知症患者数は462万人。65才以上の7人に1人が認知症であると推定されています。また2025年には、団塊の世代が75才以上の後期高齢者となるので、認知症の増加は国民的病とも言えます。そんな中、数年前から精油を用いた認知症予防のデータも報告されるようになり1)、それがメディアに取り上げられると詳細を理解せずに使ってみる人が増えてしまいました。

このケースで使用されたローズマリー(Rosmarinus officinalis)について調べてみました。
参考文献2)によるとローズマリーには2種類あって、ローズマリー・カンファーと、ケモタイプであるローズマリー・シネオールがあります。いずれも主成分は①α-ピネン、②カンファー、③1, 8-シネオールですが構成比が異なります。

種類 主成分1 主成分2 主成分3 その他成分
カンファータイプ α-ピネン 22% カンファー 17% 1,8-シネオール 17% ベルべノン、ボルネオール他
シネオールタイプ 1,8-シネオール 51.3% カンファー 10.6% α-ピネン 10% ボルネオール、α-テルピネオール他

α-ピネンはモノテルペン、カンファーはケトン、1, 8シネオールはオキサイドに分類されます。ローズマリーの主成分3種類のうち、人体に対する有害な作用として注意しなければならないものの一つとしてカンファーがあります2)。動物実験ですが、血管拡張あるいは血管収縮を起こし、血圧変動が報告されています2)。ついでですが、英語名のCamphorは日本名では樟脳です。皆さん、「樟脳」と言われるとなんとなく刺激が強いことが感じられるのではないでしょうか?
ローズマリー精油吸入後の血圧、心拍数および呼吸数の有意な増加を示した研究結果3) もありますので、高血圧や薬を服用中の方は医師や薬剤師に相談してみるのも良いでしょう。

繰り返しになりますが、精油を使うのは自己責任、情報の多い精油製品を信頼できる業者から購入する。そして精油の体内動態は今後の研究課題。そのような現状を知り、精油を正しく使用しましょう。

参考文献
1) 中原 淑恵, 浦上 克哉, 認知症ケア最前線 32, 21 (2012)
2) E・ジョイ・ボウルズ著、熊谷千津訳, アロマテラピーを学ぶための「やさしい精油化学」, フレグランスジャーナル社(2002)
3) Sayorwan W, Ruangrungsi N, Piriyapunyporn T, et.al., Sci Pharm. 81(2), 531 (2013)