精油は天然のものだから「安全」ですか!? ~連載:精油の危険性について 第2回~

みなさん、こんにちは。
そもそも、精油(エッセンシャルオイル、アロマオイル)とは何でしょう?
精油とは芳香化合物を含んだ植物の花、葉、根、果皮、種子、全草などから蒸留や圧搾で得られる水と混和しない芳香のある油です。

精油には4つの特徴があります。
1:芳香性(独自の香り) 2:揮発性(空気中で蒸発する) 3:親油性、脂溶性(水には溶けず、植物油、アルコールにはよく溶ける)4:可燃性(引火しやすい)

そして「植物の香り成分は化学物質の集まり」です。
例えば、日本でも人気の高いラベンダー精油ですが、その中には最低でも数十種類以上の化学物質が高濃度に含まれています。また、ケモタイプといって、同じラベンダーという名称でも遺伝的な形質が異なることから成分が非常に異なるものが存在している場合があります。ラベンダー精油の主成分としてはリナロール:酢酸リナリルの成分比が約1:0.8~1:1.6位が一般的ですが、中には1:2.8~4.0、またカフェインを含有するものとしないものもあります。さらに、精油は同一品種でも産地、採取時期、抽出法、保存方法などによっても香りの成分が異なることが知られています1)。事実、私たちの研究でも同じ東北地方でありながら秋田県産、岩手県産の成分の違いが確認されました2)。見方によっては全てを含めて同一製品を作ること自体が不可能であるとも言えます。

とは言え、アロマセラピーでは、希釈した精油を肌に直接塗布することもありますので、品質や安全性はとても気になりますよね。精油を品質、安全性の点から見てみましょう。

精油の香り成分すなわち化学物質自体は危険有害性物質に分類されるものもあります。 例えば、オレンジ(スイート)、レモン、グレープフルーツなど柑橘系精油に含まれるリモネン(写真)は消防法上の第4類危険物・第2石油類に該当し、かつ引火性・皮膚刺激・アレルギー皮膚反応、眼刺激性3)など健康に悪影響を及ぼすおそれがあります。これは特にリモネンに限らず、精油成分である化学物質のほとんどに当てはまることです。

精油の香り成分であるリモネン

精油の香り成分であるリモネン

 

現在でもアロマセラピーで使用される精油の多くは海外から「雑貨」として輸入されています。古くからの精油生産国であるヨーロッパには “エコサート”をはじめ,第3者の認定機関が定めた品質規格基準がいくつかあります。しかし、国内のアロマセラピー業界には統一された品質規格基準も安全性基準も存在しません4)5)。なぜでしょうか?1番の理由は品質規格基準作成や安全性試験(急性毒性試験、皮膚一次試験、感作性試験ほか)を行うには膨大な費用と時間を必要とするからです。え~と驚かれるかもしれませんね。店頭で見る「AEAJ表示基準適合精油」のラベルは何なの?と。国内では消費者を保護する観点から、(公社)日本アロマ環境協会(AEAJ)が精油ブランドを対象とした「表示基準」を定めています6)。その中身は精油製品情報(ブランド名、品名、学名、抽出部分、抽出方法、生産国または原産国、内容量、発売元または輸入元の8項目)と使用上の注意事項(4つ)です。「AEAJ表示基準適合精油」は精油を購入する際の一つの目安にはなります。しかし、AEAJだけでなく他の協会の精油も、精油の品質や安全性まで認定しているものではないのです。

以上のような観点から、精油を用いたアロマセラピーは使う側の自己責任であると言えます。

若干ですが、リスク面として細胞を用いた精油の毒性調査7)やアレルギーなども報告されています8)

私たちが香りを用いて心、体、生活を整えるには、情報量の多い製品を信頼できる業者から購入すること、天然=安全ではないことを知った上で精油を正しく取り扱うこと1)が、精油と上手にお付き合いするマナーだと思います。

参考文献
1) 日本アロマセラピー学会編 アロマセラピー標準テキスト
2) 瀧口晶子, 千葉良子, 第19回日本アロマセラピー学会学術総会, Vol.15, No2, 69, 2016
3) 東京化成工業株式会社HP:http://www.tcichemicals.com/eshop/ja/jp/commodity/L0048/
4) 三上杏平, aromatopia, No65, 5, 2004
5) 三上杏平, AROMA RESEARCH, Vol.14/No.2, 25, 2013
6) AEAJ HP:http://www.aromakankyo.or.jp/aeaj/activity/oil/
7) 青暢子、塩田清二, 日本アロマセラピー学会誌, 5, 34, 2006
8) Sugiura M, Hayakawa R, Kato Y, Sugiura K, Hashimoto R, Contact Dermatitis. 43(3), 157, 2000